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寝る前に来てね。寝る前じゃなくても来てね。

【香港旅行記その3】ゆっくりだってイイじゃない。香港の路面電車が好きだ

ときどき、同じ動物なのにどうして人間だけこんなに複雑になったんだろう、と思うことがある。こんなに服着てるのにまだ寒いなんて…とか思う冬の日は特に。

他の動物と同じように毛で覆われてて、あるがままの自然の環境で生きられたらいいのに、と思う。

でもやっぱり路面電車は好きだ。

古びたプラスチックの椅子。2階につながる窮屈な階段。 色とりどりの服装をした背中が並ぶ車内。目で追いきれないほどたくさんの看板やネオン。ゆっくり流れていく街の景色。 チリンチリン、ガタンガタン、とブリキのおもちゃみたいに進んでいく路面電車は、乗るたび愛しくなってくる。

今日はエマと台湾の競馬を見に行ってきた。

テレビでは何度も見たことがあったけど競馬場に行ったのは実は初めて。 写真で見ていたお見合い相手に実際に会ったみたいな感覚だった。

眩しいほどにライトアップされた会場。正確に馬の順位が分かる大きなモニター。波のようにやって来ては去っていく、レースの前のみんなの興奮とレース後の不思議な静けさ。建物内のモニターの前で、マジメな学生みたいにデスク付き椅子に座って順位に集中する人々。

「競馬ってこういう感じの遊びだったんだね」とエマと感想を言い合いながら、また路面電車に乗って帰った。

 

馬よりずっと遅いスピードで走る車内でふと、好きなのはこの調和した感じなんだ、と気づいた。ものすごく都会化したビル街の中をのんびり進む乗りもの。めまぐるしいビジネスの現場やにぎやかな遊び場を繋いでいるのに、浮き足立つことのない安定感。早いから選ばれたんじゃなくて、必要だからある。

 

 

バランスを取り続けることは、前に前に進むよりずっと難しいのかもしれない。まだ賑やかな夜の街の景色の中をのんびり走るトラムに揺られつつ、そんなことを考えながら帰ってきた。