(前編はこちら)
パブを出て徒歩5分。到着したのはアレンの自宅となりにあるガレージ。これがまさに秘密基地のような様相だった。
アレンの秘密基地とビール工場
ビールサーバーの他にも、ビリヤード、ダーツ、ギター、太鼓、大きなソファ。男の子の好きなものが雑然と、ぎっしり詰まっている。 アレンは自分で醸造したビールをこの秘密基地でいつも楽しんでいるようだ。
ホスピタリティもすごい。肌寒くて手をこすっていたら、バーにあるような背の高いガスヒーターをつけて、その横に「ここに座って」と椅子を置いてくれる。
プラスチックのカップにわざわざみんなの名前を書いてくれて、「好きなの飲んでね」と手渡してくれる。
ビシェノに来て出会った人はみんな、やんちゃで無邪気で少年・少女のようだけど、人に対する気遣いはとても深い。
人口600人くらいという小さな町で、みんながお互いを尊重しあいながら暮らしているのが伝わってくる。
ジンジャー・ビア/スタウト/ペール・エール/レモネード と、自家製ドリンクはなんと4種類もあった。そしてどれもフルーティーで濃厚で新鮮で、とても美味しい(…全種類飲ませてもらった)。
どんなきっかけで「家でビール作ろう」ってなるんだろう。でも私もやってみたい気がしてきた。なみの仕事量じゃなさそうだけど。
おとなこどもの夜は更けていく
みんながギターを弾いて太鼓を叩きながら歌っている間、私はアレンとビリヤードをした。
姿勢と足のポジション、キューの握りかたをアレンに教えてもらいながら、7,8ゲームくらい一緒にエイトボールをプレーした。もちろん1回も勝てなかった。
そのうちみんなぐったりしてきはじめて、「そろそろ解散しようか」と外に出る。
なごり惜しそうに最後の一服をする大きな少年たち。空いちめんにぎっしりと詰まった星の話をしながらフカフカと煙を浮かべている。
どれだけ遊んだって、どれだけ飲んだって、外に出たら大自然というのがいい。遊び疲れた子どもみたいに、満ち足りた気持ちで家に帰れる。
もう誰にも「こんなに遅くまで何してたの!」と怒られたりはしないのがちょっと残念な気もする、楽しい楽しい夜だった。