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【2月25日の備忘録】私の心のヒーローと、一生枯れない花を送ってくれたお母さんの話

2月25日は1年に1回しか来ないから、今日書いておきたいことがある。


19年前のこの日に、ある男の子が亡くなった。

私はその男の子のことが好きだったのだけど、病気のことは知らなかった。
数日後に校内放送で彼が亡くなったことが知らされて、みんなで黙祷をした。その時に初めて、彼が病気だったことも、亡くなったことも知ったのだった。

その男の子は私のことを知っていたかどうかも知らない。中学生らしい、とても一方的な恋だった。


足が早くて、全てのスポーツが得意で、明るくて、友達も多くて、とても素敵な子だった。
あんなに才能のある人だったのにどうして。あんなに人に好かれている人だったのにどうして。

高校受験の直前で、私は泣いたり泣き止んだりしながら机の前に座って勉強した。

生きることの意味を今考えたりし始めたらだめだ、と思った。自分がばらばらに壊れてしまいそうで怖かった。



どうにか高校にも入ることができて、月日が流れたある日。私は友人に住所を聞いて、その男の子のお母さんに手紙を書いた。

お返事はびっくりするほどすぐに来た。自分では買ったことももらったこともないような、とてもかわいい花柄のハンカチが同封されていた。お墓の場所も教えていただいた。


「息子のことをこれからも思い出してね」
「高校生活を楽しんでね」

大人の女性の、流れるように優しい美しい字を見て、私は見ず知らずのそのこのお母さんに憧れた。手紙を書きながらも送った後も、失礼だったかもしれない、余計なことをしたかもしれない、と不安になっていた気持ちを包み込んでもらった。


それから時折お墓を訪れた。
空を仰ぎ見るように立てられた、桜色の綺麗な墓石だった。

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一生懸命生きよう、と思った。
人生に明確な目標を持っていなかったけど、知られてもいないような存在で「彼の分まで」なんてことは言えなかったけど。
それでも一生懸命生きたいと思った。



毎年この日になると彼のことを思い出す。お母さんのことを思い出す。

いつの間にかその時の倍以上の年齢になっている。赤と白の花柄のハンカチは、今も大事な日には持って出かける。


彼にも、彼のお母さんにも、私からは何もできなかったけど、これからも思い出して、これからも励まされるのだと思う。


今日からまた1年、一生懸命生きよう。