昔から宗教に関心があった。というか、不思議に思っていた。特定の宗教を信じて一生を過ごすのって、「自分は特別な存在だ」という気持ちを捨てることに近いような気がしていた。
たとえ誰も「あなたって特別ね」と思ってくれなくったって、自分にとっての自分くらいは特別であってほしい。でも信仰の中にはそんなエゴを見つけられなかった。決められたルールに従って、みんなと同じものを信じながら暮らすことってすごく謙虚だ。
そういうどこか理解しきれない気持ちがあって、どこかで/誰かの信仰に触れるときはいつも憧れのような、立ち入れない世界を外から見ているような気持ちだった。
イスラム美術館 Islamic Art Museum で考えた
さて今回、マレーシア・クアラルンプールでの1週間の滞在中にイスラム美術館 Islamic Art Museumに2回行ってきた。
1回目はあきちゃんと出かけて、ソワソワしてしまってゆっくり見られなかったので(遠足の時はしゃぎすぎて鼻血出る感じ)、2回目は1人でじっくり見てきた。
アクセスはKLセントラルから赤いバス、GO-KL CityBus RED LINEに。バス停はMASJID NEGARA。国立モスクから道路沿いに歩いてすぐです。入館料は14RM(≒350円)。
イスラム美術館の展示内容
1F / 2F エントランス・カフェ・ショップ
3F 世界のモスクの建築(ジオラマがすごい!)・解説 経典コーランとイスラム教関連文書・絵画の展示
4F 中国、インド、古代マレーシアでのイスラム教関連アートワークの展示 ジュエリー、テキスタイル、装甲、ガラス細工、陶磁器の展示
(カフェにて。ガラスがモザイクに貼り付けられている柱や壁。キラキラしててきれいだった)
世界のモスク・イスラム建築
同じモスクでも土地や気候、文化に合わせていろんな建築様式があるんだね。言われなかったらモスクって分からないものもたくさん!(写真一番下、中国のは特に)。生きてる間にいくつか見られるかな。見られたらいいな。
豪華絢爛。コーランの装飾
まだ印刷技術が整っていなかった時代はみんな手でコーランを書き写していたんだな。ただ文章(アラビア語)を写すだけではなくて、これでもかというくらい丁寧に、豪華に装飾されている。どのページもこんな感じなんだろうか。展示する時にどのページを選ぶか迷いそう。
中国のイスラミックアートがおもしろい
アラビア文字って造形が綺麗だけど、なるほど。あれとこれが混ざるとこうなりますか! という中国ムスリム独自のアートワークたち。地域ならではの楽しみ方、見ていてワクワクするね。
愛と楽しみがいっぱいの日常なんだね
こんなことを今さら書いてたら「当然じゃない!」と怒られそうだけど、宗教というのはこれを信じなくちゃいけない、という義務ではないんだなあと改めて思う。人々の工夫と遊びがある展示品たちから、信仰を愛おしむ気持ちや、宗教が生活の中の楽しみの1つなんだというのが伝わってくる。
考えてみたら、「朝起きて、ご飯を食べて、歯を磨いて、お化粧をして、服を選んで、さあ出かけましょう!」みたいな皆同じようにこなしている当たり前の日常にも、自分なりの楽しみ方や流儀がある。皆がしてることだから私はしたくない、とはもちろんならない。
同じ思想や同じ行動を強いられているのではなくて、信仰心も礼拝も自分の生活のペースを構成する1要素で、その基本の上にそれぞれの個性が成り立っているんだろうな。
国立モスクもすぐ近くにありました。
もう少し滞在したい気がするけど、実はこれがマレーシア最後の日。また好きな国がひとつできました。
さて、明日はまた移動日です。