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寝る前に来てね。寝る前じゃなくても来てね。

ベッドに入ってさあ寝ようというときに

昔のことを思い出してしまう夜がある。ベッドに入ってさあ寝ようというときに。

どうしてそんな蓋が突然開いたんだろう…と考えてももう遅い。寝るんだ、寝るんだと脳に呼びかけてみても続かない。
心は先にあっちの世界に飛んでしまって、昨日の疲れが残っていようが明日仕事が早かろうがお構いなしで、懐かしい昔の空気にすっぽり包まれてしまう。

「○年後の私はどうしてるかな」
昔の私はよく未来の自分を気にかけた。
そのときの声が、時を越えて今の私に届いているんじゃないかと思う。分からないけど。

昔の私はいろんなものを連れてくる。当時の自分、そのときの感情、部屋の空気、だれかの言葉や眼差し。
そのとき当たり前だったものは、今となっては不思議な手触りがする。それでもしばらく触れていると「ああ、そうだった」とそのつながりを思い出す。何本かの糸をたどっていくうちに記憶は確かなものになっていく。昔が次々と立ち上がる。

その記憶のかさなりを、いまの私は愛しく思っているのかどうか分からない。
見ていた希望。孤独だった時間。私を作っていったもの。
眠れない夜に思い出すから「必死だった日々」なのか、「必死だった日々」だから眠れない夜に思い出すのか。

分からないけど思い出すたび心臓がギュッとして、捕まってしまったような気持ちになる。


今の時間に戻ってきたくなったとき、隣りで寝息を立てているニレーシュに触れてみる。

どうして今この人が隣りにいるのだろう、と思う。
ほんとに3年前にはまだ隣りにいなかったんだっけ、とも思う。

寝ているのに、ニレーシュハグして、というとハグしてくれる。
「まだ寝れないの? お腹すいてるからじゃない?」と言いながら。

お腹は空いてないよ、と返事しつつも、そうか、お腹が空いてるからかも、という気もしてくる。
「すきだよ」と言うと、「すきだよとぅー」と返ってくる。とぅー? あ、tooか。
ニレーシュの言葉はいつも明るくて気が抜ける。

起こしてごめんね、寝てね、と言うとすぐまたスースー寝息が聞こえはじめる。
そして今度こそ眠れますように、と私も目を閉じる。

すぎていった時間にありがとうやごめんなさいが言えたらいいのに。昔の自分に「大丈夫」とも言えたらいいのに。

明日になると忘れてしまうような夜の時間の記録。