こんにちは〜。
ナマステナマステ〜。
インド人の彼とインドのジャンシーで結婚式したお話を書いています。
こちらは6話目です(そろそろ終わりが見えてきた…!)。
1話目はこちらからどうぞ。
ヒンドゥー教式神前式
結婚披露宴から少し休憩をはさみ、結婚の儀式は午前2時過ぎから始まった。
5月7日のこの日、この時間帯がニレーシュと私にとって大安吉日ということで結婚式のすべての日程が決まったのだった。
儀式のためにオレンジ色のサリーを着せてもらって会場に向かうともう全て準備が整っていた。
ヒンドゥー教徒にとってこの儀式が正式に2人の「結婚」を意味する。役所に婚姻届を出すときもこの儀式を行った日が結婚した日として登録される。
インドでの婚姻は、2人の結婚がヒンドゥー教徒としての結婚かそれ以外の場合かに分けて登録される。私たちはヒンドゥー教徒として籍を入れた。
まずは新郎、それから新婦が神様にご挨拶
儀式の場所にはグル(聖職者)が座り、儀式の間じゅうお経を唱えてくれている。それに合わせて新郎新婦はお供え物を中央で燃えている火の中に投げ入れていく。
火はヒンドゥー教の火の神アグニを象徴するもの。お供え物の内容はお花やお米、ミタイ(お菓子)、糸や水などだった。
兄(新婦側の家長)にも参加してもらい、私とニレーシュの手に水で溶いたターメリックを塗ってもらう。
火のなかに葉ですくった水を落とし、グルの言葉に合わせてギー(インドの乳成分を取り除いたバター)に浸された木の皮を右手でつまみながら、新郎、新婦と交互に何度も火の中に投げ込んでいく。
火の回りを7回まわる。ヒンズー教の結婚の儀式サートフェレ (saat phere)
お供え物を全て火のなかに捧げたら、次の行程はヒンドゥー教徒の結婚に必ず登場する儀式「サートフェレ」。
サートは「7」を、フェレは「火」を意味する。新郎新婦が一緒に火の回りを7回まわることで初めて2人の結婚が正式なものとなる。火はインド神話の火の神アグニを意味し、1周ごとにそれぞれ以下のような祈りを捧げる。
1周目: 食のための祈り
十分な食物を得られるよう、また十分な食物のために常に2人で歩めるよう祈りを捧げる。
2周目:健康と繁栄
健康で繁栄した生活を得られるよう祈りを捧げる。
肉体的、精神的、精神的な健康を神に祈る。
3周目:富と幸福
幸福も痛みもともに分かち合い、2人で富を得られるよう祈りを捧げる。
4周目:家族への愛と尊敬
お互いやそれぞれの家族への愛と尊敬の気持ちを神に伝え、祈りを捧げる。
5周目:子供
2人が神から美しく、高貴な子供を授かることを願い祈りを捧げる。
6周目:長生き
2人がお互いに平和に長生きできるよう祈りを捧げる。
7周目:2人の関係
夫婦がいつまでも団結して、誠実に、理解し合いながら歩めるよう祈りを捧げる。
はじめの3周は新婦が前、その後ろを新郎が歩いた。
手にお供え物を持ちながら火の回りをまわるのだが、1周ごとに兄(新婦側の家長)が渡してくれるマカナ(オニバスの種・フォックスナッツ)を新婦が受け取り、また新郎に手渡して、新郎の手から火の中に捧げる。
3周まわったところで再び火の前に座る。私(新婦)にかかっているヴェールの端にリボンを結び、それを新郎の肩に掛けた(2人が繋がったことの象徴)。
再び立ち上がり、今度は新郎が前になって火の回りを4周まわる。今度は兄が手渡してくれるマカナを新郎が受け取り、新婦に手渡して、新婦の手から火に捧げる。
マカナ(Makhana / Fox nuts)とは?
ヒンドゥー教徒のプジャ(お祈りの儀式)の際によく使われるオニバス/スイレンの種をポン菓子のように弾けさせたもの。カリウムやマグネシウムが豊富でスーパーフードとしても注目されている(そのまま食べたら苦かった)。
7周まわり終わって、2人は正式に夫婦になった。
今度はヒンドゥー教徒の夫婦としての証を新郎、新婦が身につけていく。
ヒンドゥー教徒の既婚女性の証は4つ
洋服文化の流入もあって現代は守っている人も減ってきているようだけど、ヒンドゥー教徒の既婚女性が原則として身につけるべきものはけっこう色々ある。代表的なものが以下の4つ。
シンドゥール (sindoor)
髪の生え際の真ん中から後頭部に向かって入れられる朱色の粉。辰砂。
ビンディ (bindi)
両眉の間に入れられる赤色の丸。現在はシールになっているものも多い。
チューリー(腕輪)/パヤル(アンクレット)/ビチヤ(トウリング)
既婚女性が普段から身につけるアクセサリー。夫を魅了する目的もあるのだそう。
マンガルスートラ (mangalsootra)
既婚女性が身につける金のネックレス。基本的に外さない。
再び火の前に座って、これを1つずつみんなに身につけていってもらった。
お義母さんにチューリー(腕輪)とパヤル(アンクレット)、両足の人差し指と中指にそれぞれビチヤ(トウリング)をつけてもらう。
その後、ニレーシュが自分のリングに赤い粉を付け、私の髪の真ん中の分け目にリングで線を引いた(シンドゥール)。
私は新郎の心臓のところにハルディ(ターメリック)をつけた。
最後に新郎からマンガルスートラ(金のネックレス)を付けてもらい、既婚女性の装いが完成!
親戚も家族。インドの人間関係はあったかい
いろんなものを身に着けていっている間、親戚の女性たちが「シャ〜ディ〜シャ〜ディ〜シャ〜ディ〜シャ〜ディ〜 シャーディ〜モバラクホ〜」(結婚おめでとう)という歌詞の歌を歌ってくれていた。
何日間にも渡る結婚式でみんな疲れているはずなのに、たくさんの微笑みと祝福に包まれているのを儀式の間じゅうずっと感じていた。
いろんなイベントをこなすことに精一杯だったけど、この儀式でようやくニレーシュと会えて、たくさんの新しい家族ができたんだという実感がはっきり湧いてきた。神聖な場所の力かな。
また、新婦側の家長の役割を果たしてくれた兄、グルの言葉を兄や母に常に翻訳して伝えてくれたプラニータも本当にありがとう。プラニータがいたから、私の家族がインドで何も困らず過ごすことができて、本当に心強かった。
新郎が守るの6つの約束と新婦が守る3つの約束
さて、2人の結婚が正式なものになると、 最後にグルから新郎が守る約束と、新婦が守る約束が言い渡された。
神の前で新郎が妻に約束した(させられた)のは以下の6つだった。
・すべての財産を妻と分ける
・すべての収入を妻に伝える
・家、車、その他何でも、買うものは全て妻に先に相談する
・プジャ(お祈りの儀式)をするときは2人で一緒にする
・他の人の前で妻を侮辱しない
・どんな時も夫婦で1つの存在となり、人生のすべての時間を共にする
私の方も約束するよう求められたのだけど、こちらもけっこうユニークだった。
・1人で森に行かない
・新郎に伝えず家出しない
・ 喧嘩してもちゃんと仲直りする
(なんて新婦に有利なんだ…ラッキー!と思ったのはヒミツ)
約束が終わると、兄がお供え物を少しずつ落としながら、新郎新婦のまわりを1周回った。新婦の家族も関係を認めた、ということの表現なのだと思う。
それから次々と親戚の方がやってきて、私とニレーシュのおでこにティーカ(赤い粉をつける)をしてくれて、私とニレーシュの頭をぴたりとくっつけていく。
夫婦として家族・親戚に挨拶
それが終わると、親戚のみなさんを回ってご挨拶。
2人でみんなの足を触る挨拶をし、(過去記事参照)皆さんにご祝儀を頂いた(婚約式、結婚披露宴、この神前式、と皆さんに何度も何度もお祝いを頂いた)。新婦側の家族もまわった。
この間ずっと、ニレーシュと私はピンクのリボンで繋がっていたのだった。
このあと、儀式が行われた場所の屋根に、2人でひとつかみのマカナを何度も投げ上げて、儀式が終わった。
家族とはここでお別れ
少し休んですぐに帰り道につく家族とは、ここでお別れをした。両家もここでお別れのご挨拶。
母がお義母さんと抱き合って泣いていた。その2人を見たせいか全て終わったせいか、私も安心して、そして少し寂しくなって1人うるうるしていた。
おまけ:儀式はまだ終わってなかった
これでようやくゆっくり眠れる…とその場を後にしたら、ニレーシュが「これから車に乗るよ。乗って、またここに戻ってくる」という。
え?どういうこと…? よく分からなかったのだけど、とりあえず車に乗り込む。なぜか兄も乗せられている。
実はこれ、新郎の入場の際に「入れないぞ」と通せんぼしたのと似たインドの風習なのだそう。
新郎が新婦を連れて行こうとする
→ 新婦の家族がそれを阻止しようと、新婦を連れ戻す
→ それでもやっぱり最後は新郎が新婦を連れて行ってしまう
というのが一連の筋書き。
これに習って私達の場合、
ニレーシュと私と兄の3人で車に乗り、ニレーシュが宿泊しているホテルに向かう
→ 私と兄だけ車で帰ってくる
→ 式場に戻ってきたニレーシュに連れられて、兄を置いて再び車でホテルに向かう
という感じで2つのホテルを行き来した。
ぐったり疲れた朝の5時半。意味もよく分かっていなくて、このときはただ「我々は今なんのために行き来しているんだ…」と思っていたのだけど、いま考えたら可笑しい。インドの結婚式は最後までエンターテイメントが盛りだくさんだった。
さて、仮眠を取ったらその後は新郎の家での親睦イベント!インドの伝統的なゲームがたくさん登場します。
(7話につづく)
🔽ニレちゃんと出会ってからの記録をつけています
🔽ヒンディーの勉強始めました。日英ヒンディー、3カ国語で自己紹介
🔽旅行中に役立つ!ヒンディー語の挨拶とカンタンな日常会話