今日、私がいつもの場所(Bicheno Lions Park ビシェノ・ライオンズパーク)でたわわに実ったブラックベリー摘みをしていたら、後ろから「シン〜!」と誰かに話しかけられた。
海に面しているBicheno Lions Park ビシェノ・ライオンズパーク。
余談ですが…ビシェノ・ライオンズパークの歴史
ライオンズパークには、1832年に亡くなったアボリジニ、Wauba Debar(ワウバ・デバー)のお墓がある。
海岸から1kmほど離れたところで遭難した2人のオットセイ漁師(1人は彼女の夫)を泳いで助けに行った彼女。
当時、誘拐された女性アボリジニが、ヨーロッパからの入植してきたクジラ漁師やオットセイ漁師の性的な奴隷となることが多かったそうで、Waubaもその1人だったという。
このあたりの浜や沖は、彼女の名前にちなんでWaubs Bay、沖はWarbs Harbourと名付けられているのだそう。
本題、本題。クロエがやってきた
そうだそうだ。
このライオンズパークでブラックベリーを摘んでいたら、後ろから「シン〜」と呼ばれたのだった。
ハッとして振り向くと、そこにいたのはイーリの同僚、クロエの姿が。
中国からワーキングホリデービザでやって来て、ペンギンツアーのガイドとして働いている女の子だ。
「何してるの?」
「今ブラックベリー摘んでたよ」
「そうなの? 私も摘もう」
と、しばらく2人でブラックベリー摘み。
「クロエはいまどこに行こうとしてたの?」
「私はぐるっと散歩しようとしてたところ」
「そうなんだ、私もついていってもいい?」
「もちろん〜」
満足するまでブラックベリーを食べてから、クロエの散歩のつづきが始まった。
軽装クロエ。アザラシに遭遇
私は寒がりなので、まだ秋だというのに毎日、
【上:ヒートテック+長袖+カーディガン+ウィンドブレーカー】
【下:タイツ+ジーンズ】
と完全防備をしている。
それに比べて、クロエは
【上:Tシャツ】
【下:ジャージ】
とものすごい軽装。なんて健康的。
「寒くないの?」と聞くと、「ちょっと寒い」んだそうだ。
そっか、ちょっと寒いんだね。
スタスタスタスタ…とどこまでも足取りが軽いクロエ。
追いつかなくなる私を、途中でなんども振りかえって「大丈夫?」と聞きながら待ってくれる。きつくなったら途中で言ってね、と。
ビシェノの町から、海沿いをずっと南側に下っていく。
この辺の海岸ならではの赤く染まった岩が広がる。Macのデフォルトの壁紙に、こういう写真があった気がする。
道の途中に、地元の人にも観光客にも大人気のフィッシュ・アンド・チップス屋さん「THE GULCH ザ・ガルチ」がある。採れたての魚をフカフカのフライにしてくれる。ビールを飲みながら食べるのが最高の海フードだ。
ものすごくハイカロリーっぽくてものすごく美味しいんだけど、今度の日記に書こう。
さらに歩いたところで、クロエが海の上に浮かんだ岩を指差して叫ぶ。
「シン、あそこ見て! シール!」
え、シールってなんだっけ。オットセイ?!
ほんとだ。肉眼だと点にしか見えないけど、確かにそれっぽいのがいる!!
「何頭いるんだろう…。3頭? 4頭?」と写真を撮りながら確認するわたし。
ゆっくり撮ってね、と見守ってくれるクロエ。
撮った写真を拡大してみた。
4頭のオットセイと、たくさんのカモメたちがいたのだった。ゴロゴロしたりしてみんな気持ちよさそう。
クロエに見えてる世界をのぞき見した
満足げなわたしを見て、「もう少し先に進んだらもっと岩に近づくかもしれないよ」といい場所を探してくれる。
クロエはいつも1人で散歩をしながら、こんな景色をたくさん見てるのか。
中国から1人でやって来て、大自然の中に身を置いて、一生懸命勉強した英語を使って仕事を探して、現地の社会に慣れようと努力している彼女。
人間の一生って、すべて言葉に置き換えて誰かと共有できるものではない。
ただ、その人の近くで同じものを一度見ただけで、その人にとっての世界の見え方が一瞬わたしの目の前にもサッと広がるような、そんな気がする。
1人だったら絶対に気づかなかったオットセイを一緒に見ながら、わたしはこの日クロエをすごく身近に感じた。
歩いていたらブロウホールにも遭遇した
オットセイが見えた岩場を通り過ぎてしばらく歩くと、たくさんの観光客が集まっていた。
Bicheno Blowhole ビシェノ・ブロウホールといって、岩を貫通した穴から潮が吹き上げる岩場として有名なのだそうだ。
ど〜ん!
ばっしゃ〜ん!
今日の案内人、クロエ
これは一緒に海に入った日の写真。いつもニコニコかわいいクロエです。
イルカを見よう!とかペンギンを見よう!とか、アザラシを見よう!とかブローホールを見よう!とか、目的を持ってタスマニアに来たわけではなかったんだけど、地元の人と話したり、町をフラフラしているだけでいろんなものに出会えるっていうのがいい。
それだけみんなの生活と自然が近いんだなあ、としみじみ感じる毎日です。