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インド人の夫とベルギーで2人暮らし中。30代前半から仕事を辞めて海外1人旅をスタートし帰国後夫と出会って国際結婚したり海外移住したり。何歳になっても勉強しながら楽しく自由に生きることを誓います。

【ネパール女1人旅 Day.10】ホテルのオーナーと市内観光。ビンドゥパシニ寺院にセティ川渓谷!

ネパール10日目、ポカラ3日目のこの日は、思いもしないラッキーがあった。


いつものようにホテルで朝ごはんを食べていたら、オーナーが「美味しい? 要るものがあったら言ってね」と話しかけてくれた。

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そこから「昨日は何したの」とか「居心地はどう?」とか、世間話がポツポツ続く。「今日は何するの?」と聞かれたのでまだ決めてないと答えたら「一緒に市内まで行ってみる?」と誘ってくれた。

もちろん行く! 即答。 
現地の人や旅行者と一緒に出歩いたり話したり、私は旅行中のこういうイレギュラな出来事が大好きなのだ。


「じゃあ1時間後にフロントでね」と待ち合わせをして、準備をした。

いざ出発、でもどこに…?

どこに行くのかもろくに聞かず、ホテルの近くでバスを待つ。

「ポカラの町の方に行くよ」とブワンさん。

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地元の人でいっぱいのバスにしばらく揺られて町中で降りた。フェワ湖周辺はかなり観光地化していたけど、バスで20分ほどやってきたこの土地は地元の人ばかりだった。


この日は本当にはっきりヒマラヤが見えていた。

山の方に歩くと、山の方からどんどんこちらに近づいてくるような気分になる。なんだかそういう「壁紙」を見てるみたいなんだけど、でも立体的でリアルでとんでもなく大きくて、「何だったっけこれは…」とよく分からなくなる。

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ヒマラヤを一望できるポカラのお寺。ビンドゥパシニ寺院

山を眺めながらしばらく歩いて、まずはビンドゥパシニ寺院(Bindhyabasini temple)にやってきた。例によって、ゼーハー言いながら階段を登りきったところにある。

お寺のまわりは地元の人で賑わっていた。結婚式もやっていた。

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階段を登ってきたおかげで、遮るものがなくヒマラヤを眺められる。

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こちらが案内してくれているNew United Hotel(ニューユナイテッドホテル)のオーナー、ブワンさん。写真撮らせてもらったのに顔が影になっちゃったな。

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あちこちで観光客の写真を撮ってあげたり、誰かに何かを尋ねられたり、と自然体で親切だ。

どんな人生を歩んできたのかもこの後色々話を聞きながら分かってきたのだけど、知的で、ビジネスにも成功していて、自分の国をとても大切にしている人だった。

ヒマラヤをバックにのんびりサッカー。ポカラ市内の学校

お寺から降りてきて、今度は町中を歩いてみた。

朝の10時過ぎ。子どもたちが学校の校庭を歩いている。

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「休憩時間なの?」と聞くと、「いや、これから始まるんだよ」とブワンさん。

へ〜。けっこう始業が遅いんだね。

子どもたちは近所で買ったお菓子やアイスクリームを食べたり、サッカーしたりしながら楽しそうに遊んでいた。学校が始まる前にお菓子を買いに行けるなんて、学校が楽しくなりそうでいいね。

そしてバックには子どもたちをがっしりと見守るようにヒマラヤの景色が。最高じゃないか。

学校の近所にはたくさんのちいさな鉄工所もあった。

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地元の生活を見られるって嬉しいね、とキョロキョロしていたら、「次は渓谷に行くよ」とブワンさん。

スタスタと軽快な足取りにただただついて行った。

Seti River Gorge セティ川渓谷から吊橋へ

たどり着いたのは、ヒマラヤからポカラへと縦に流れているSeti River(セティ川)の渓谷。

「Seti River Gorge セティ川渓谷」と呼ばれている場所は公園のようになっていて、少額だけど入場料があった。

私の分までサッと支払ってくれるブワンさん。親切すぎて申し訳なったのでこの後一生懸命宣伝しようと思う。

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セティ川を流れる水は乳白色。別名ミルキーリバー(Milky River)とも呼ばれているそうだ。

ヒマラヤの雪が溶ける時に、岩が細かな粒子となって一緒に流れていく。粒子が細かいせいで沈殿しにくく、水の中に含まれたまま流れ続けていくためこの色になってしまうそう。

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きれいな花をつけた木もあった。この花、見たことあったかな。

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干上がってしまっているセティ川


セティ川が陸を流れているのを見るために、近くの吊橋にも行った。

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ブワンさんの肩越しに撮った吊橋、見えるでしょうか。向こう岸まで徒歩や自転車で渡れるんだけど、安全なんだけど、ビジュアル的にけっこう怖い。

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セティ川はネパール大地震のあと各地で干上がってしまったらしい。
「今牛たちがいるあの辺りも地震の前まではずっと川が流れてたんだよ」と教えてくれた。

ネパールの雨季は6月から9月だけど、5月も雨の量は少なくない。だけど川はこの様子。いつか水は戻ってくるのかな。


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「豆落としましたよ〜」のハプニング

橋から街に戻る道すがら、炎天下を歩いていたら隣を通ったトラックが「ドサドサドサ…!」と豆が入った袋を落としていった。

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「落としたよ〜!」と(言っていた、多分)大きな声で呼びかけながら車を追いかけるブワンさん。
結局車は気づいて停車した。

…この重そうな袋を人力でトラックに積むのはひと苦労だね。ちょっと豆も出てきちゃってたしショックすぎるね。

顛末を見守れなかったけど、なんだか漫画的な展開に内心笑ってしまっていた瞬間でした。ごめんなさい。

不思議な4人組でのランチタイム

この後、「お昼を食べに行こう」とブワンさんの行きつけのレストランに連れて行ってもらった。

「親戚の子がこの近くに住んでいるから」と電話で誘って、親戚の子とそのお友達との4人で食事した。

彼女たちは英語を話さなかったのでコミュニケーションを取る術がなかったのだけど、パンクなファッションに身を包んだ、ファンキーでとてもお洒落な子たちだった。

彼女たち、きっと「どうしてこの人はここに…」と思ったんじゃないだろうか。

意思疎通はほとんどできなかったけど、はにかむような笑顔がとても素敵な2人だった。


ブワンさんという人

彼女たちが来るまでの1時間ほど、ブワンさんといろんな話をした。

彼はドイツの大学でビジネスを専攻し、20代の頃はヨーロッパやアジア圏のいろんな国で働いていたらしい。私の宿泊している彼のホテルNew United Hotel もまだオープンして1年?2年?そう長くはないようだった。


屋上のテラスからヒマラヤが見えるという利点もあったのだけど、実際に宿泊してみると働いている人の感じがなんだか良い。

かしこまったグレードの高さではなく、「タオルはある?」とか「今日はどこに出かけたの?」とか「今日山見えてるよ」と声をかけてくれるような、さり気ない気づかいからくる心地よさだった。

働いているのは若い男女ばかりだったけど、ブワンさんは指示しすぎたり、干渉しすぎたりしないように気をつけていると言っていた。「自分がそこにいると皆が自分を頼るから、なるべくホテルの中にいないようにしてる」と言っていたのも印象的だった。

どうしたら良いのか分からず困ること、解決方法を自分で探すことが従業員を育てていくからね、と。

自分でビジネスをやっていながらこの教育方針を貫くのはなかなか簡単じゃないと思う。そしてお客の私から見てそれが成功してる。すごい。

ネパールの路上生活者

レストランの窓から、ゴミを集めて運んでいる人たちの姿が見えていたのだけど、それについても教えてくれた。

この人達は路上生活をしていて、リサイクル可能なゴミを集めて売って小さなお金にして食べ物を買ったり、シンナーや安価なドラッグを買ったりするらしい。同業どうしのコミュニティもできているそうだ。

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▲レストランの窓から見ていた景色

子供の頃からこうして生活してきているため、教育も受けていない。今さら「普通」の社会には馴染めないため、大半の人たちは保護されるのも望んでいないという。

ブワンさんはネパールのこういった社会問題についても論文を書く準備をしているのだそうだ。

出稼ぎ奨励文化

町中にはたくさんの語学学校があり、「English」「한글」「日本語」「Hindi」などの看板が至るところで目に入る。

国内の主な産業が観光業以外にあまりないネパールでは海外留学を斡旋する機関が多数ある。

資金を多く用意できる人ほど人気の国(経済的に豊かな国)に行くことができるようで、オーストラリアやイギリス、日本も人気の国の1つだという。

行った国で仕事を見つけて定住したり、何年か働いて他の国で仕事を見つけたり、ネパールに戻ってきて自分のビジネスを始めたり、という道を辿るようだ。

資金があまり準備できない人は後進国に行くことになる。


ブワンさんありがとう

降り出した雨に濡れながら、満員のバスで観光地の方のポカラの街に帰ってきた。

さっき見た色々は、こちらの世界の中では影を潜めている。全然違う国みたい。

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私がしたい旅行は歴史的なものを見て回ることなのか、普段できないアクティビティを楽しむことなのか、その土地の暮らしや抱えている問題を学ぶことなのか、今もよく優先順位が分からない。

ただその時々で、出会った人やそこに流れていた空気、話してもらったことは記憶しておきたいなと思う。


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ブワンさん、素敵な1日をありがとう。