こんにちは〜。
ナマステナマステ〜。
インド人の彼とインドのジャンシーで結婚式したお話を書いています。
こちらは7話目。最終話です。
1話目はこちらからどうぞ。
結婚の儀式が終わると新婦が新郎の家へ
結婚式の行程が全て終わると、今度は新婦が新郎の家にやってくるという儀式が待っている。
この日もまた朝から義叔母さんたちが着付けしにホテルの部屋まで来てくれた。義叔母さんたちも全然寝てないはずなのに…!みんなとてもタフだし優しい。
準備が終わって迎えにきたニレーシュと一緒に部屋を出ると、ホテルの前には花で飾り付けられた車が待っていた。こういうの、インドで見たことある…! これに乗る日が来るとは。
ヒンドゥー教では新婦が新郎の家に入るのは特別なイベント。
ヒンドゥー教徒の習わしとして、新しく家に入る新婦は「女神(ラクシュミ)」の化身として扱われるという。
ラクシュミは富と繁栄の女神。新婦が初めて新郎の家に入る瞬間も "ラクシュミが家にやってくる縁起のいい瞬間"として、一大イベントになっている。
車で向かったニレーシュの実家。家に着く前から、辺り一帯すでにお祭り騒ぎが始まっていた。太鼓の人たちと、親戚のみんなが踊りながら車を待ってくれている。
私が”1日ラクシュミ”になった日
みんなが踊り、太鼓が鳴り響くなか車から降りて(神前式に引き続き、この日もニレーシュとピンクのリボンで繋がったヴェールをかけた)家の前に2人で並ぶ。
まずは身を清めて家に入る準備から。
お義母さんが新郎新婦の頭の上で水の入ったつぼを回し、その水を足元に少しこぼす。
家の前でおでこに赤い粉を付けてもらう(ティーカ)。
それからお義母さん、義叔母さんたちが次々と私達の頭の上でお金を回した(祝福の意)。
1. 米の入った壺(カラシュ)を蹴る
花嫁が最初に家に入る前に、お米がいっぱいに入った壺(kalash カラシュ)を右足で軽く蹴って倒す。
米がいっぱいに入った壺は繁栄の象徴。これを家の内側に向かって倒すことは「この家に富を与える」というラクシュミの意思表示として捉えられている(夫婦が新居に入居するときなども同じイベントで祝われることも多いらしい)。
2. "ラクシュミの足跡"をとる
カラシュを蹴った後には、つぎは足跡を取る儀式へと続く。
新婦は両足を赤い染料に浸したあと、足元に置かれた白い布の上を「右足、左足、右足」という順番で歩きながら家に入る。ヒンドゥー教では縁起ごとの行事の際は全て右足からスタートする。
この時とった足跡はラクシュミが家に入ってきた証拠としてしばらく家に飾られ、その後も大事にとっておくのだそう。
3. 新郎との親睦のイベント&ゲーム
少し前まで結婚の大半がお見合い結婚だったインド。結婚式を終えてもまだまだぎこちない新郎新婦の距離を縮めるため、いろんなイベントが用意されている。
私とニレーシュのためにもいろんなイベントを用意してくれた。
A. お菓子食べさせ合いゲーム
小さなテーブルを挟んで新郎新婦が着席。取り囲むように親戚のみんなが座る。親戚のみんなが身体や腕をひっぱって邪魔するなか、新郎/新婦がお互いの口にお菓子を入れて食べさせようとするゲーム。
B. 新郎の足を洗ってあげる
新婦が新郎の足を洗い、足の甲にティーカ(赤い粉)してあげる。
この儀式の意味を今になって調べてみたのだけど、結婚式の最中に新婦の父が新郎の足を洗う(自分と同等の権威を認めるという意味で)のが主流なのかもしれない。色々背景があるようだった。
C. みんなからプレゼントのお披露目
新郎新婦のあいだに置かれた銀のお盆の上に、お義父さん、お義母さん、親戚の皆さんが次々とやってきて贈り物をくれる。新郎新婦はお互いの手を重ねて、その贈り物を一緒に受け取る。贈り物はアクセサリーだったりお金だったり銀食器だったりと様々だった。
D. お互いの腕に巻かれた紐をほどくゲーム
新郎、新婦がそれぞれ相手の腕に結ばれている紐を解くゲーム。新郎は片手だけ使って、新婦は両手を使ってトライする。新郎の紐は軽めに、新婦の方はきつめに結んであった。
E. ボウルの中の指輪を探すゲーム
乳白色に染まった水の中に入っている指輪を探すゲーム。水の中には他にも紐やお花なんかが入ってて、その中から指輪を早く見つけた方が勝ち。
親戚の人が中央に座ってゲームを進行してくれるのだけど、2人で水をかき回しても見つからず、必死になっていると「実は指輪入れてませんでした〜!」なんていうおちゃめな瞬間もあった。
F. エキベキ(奇数・偶数当てゲーム)
どちらかがボウルの中に入れられたマカネ(フォックスナッツ)をつかみ、その手の中に奇数個入っているか偶数個入っているかをもう一方が予想するゲーム。奇数だと思ったら「エキ」、偶数だと思ったら「ベキ」と言いながら解答する。
どのゲームも新婦が勝つように親戚のみんなが加勢してくれて(新郎の邪魔をする、新婦が勝つまで続ける…等)、結局すべてのゲームに勝たせてもらった。
こういう小さなことの端々からも新婦を歓迎し、居心地がいいように心配りしてくれる優しさが伝わってきたのだった。
イベントの様子を一部撮ってもらったビデオはこちら。
4. キッチンに入る
新婦がその家の厨房に入ることもイベントの1つ。
この日の昼食のメニューの1つがプラン・ポーリー(Puran Poli)という真ん中に蜜の入ったローティーだったのだけど、料理しているお手伝いさんの中にお邪魔して、1枚焼かせてもらった。
全て準備されていたのでフライ返しでひっくり返すくらいだったのだけど、それでも見ているみんなが「お〜」と歓声を上げて「この子は料理が上手だ」なんて褒めてくれる。甘やかされすぎ。
その後はみんなに昼食を振る舞うのをお手伝い…と言っても、焼かれたプランポーリーをみんなのお皿に配るだけなのだけど、これも「ラクシュミに与えられる食事」として縁起のいいことらしく、みんなが私の頭の上でくるくるとお金を回したあと、次々とそのお金を手渡してくれる。
もう3日前からありとあらゆる場面でお祝いのお金を手渡されている私(しかも同じ方からも何度も…)。有り難いを通り越して、申し訳ない気持ちになってくる。
それだけ結婚式がヒンドゥー教の人たちにとって大切な時間だということなんだろう。これまで自分の感覚からは想像できなかった深い祝福を受け取った感じがした。
宴の後と舞台の裏側
これで結婚式関連のイベントはおおよそ終わり!
この後の数日間はしばらく新郎宅で過ごしたのだけど、ずっと足りてなかった睡眠を十分すぎるほど取らせてもらったり、ニレーシュと家族とみんなで一緒にお寺に行ったり、スクーター2台でパパママ、ニレーシュと私、と役所に婚姻届を出しに行ったりした。
親戚の子供たちにヒンディーを教えてもらって「なかなかいい生徒です。次までにちゃんと勉強しておくように」と激励されたのもいい思い出(子どもたち、みんな人懐こくて本当にかわいかった)。
それから、数日後には「結婚してから2人きりの時間が取れていないだろうから」と、お義父さんと義叔父さんが予約してくれたジャンシー内のホテルでニレーシュと新婚初夜を過ごさせてもらったりもした(シャンパンの用意と飾り付けまで頼んでくれてた…!)。


結婚式のほとんど全てを準備してくれたお義母さんは、全て終わった翌々日くらいからもうお仕事に行っていた。ホテル、ケータリング、引き出物屋さん、ヘナ屋さん…と家に集金に来る結婚式関連の業者さんもしばらく絶えず、その方たちの対応もすべてこなしていた。
義弟のサムも普段は静かでマイペースな性格なのだけど、結婚式のために色々と協力してくれて、私の家族の面倒までいろいろ見てくれた。式のあとは学校があるためデリーにとんぼ帰り。とても疲れたと思う。私もサムの結婚式のときはいろいろ頑張ろう…!といまから内心楽しみにしている。
ベルギーで書きました
今年の5月に終わったインドの結婚式。
式が終わった1週間後には神奈川に帰ってきたのだけど、その後にベルギー移住が待っていたせいで、準備に追われて慌ただしく過ごしてしまっていました。
いまになってやっと移住のあれこれも少し落ち着いて、結婚式の一部始終をゆっくり振り返ることができました(今はオーステンデという街のホテルでこれを書いています(新居に引っ越すまでの仮住まい))。
この経験をするまでは個人的には結婚式というものにあまり思い入れがなかったのだけど、インドという土地にこんなにもたくさんの新しい家族を持てたこと、周りの人のおかげでそれをじっくり祝福し、祝福してもらう機会を与えてもらえたことを改めてとても有り難く感じています。
これから時間をかけて、夫も家族も親戚も、みんなが大切にしている文化やものごとも、一緒に大事にしていきたいと思います。
上手にまとめられず冗長になってしまった記録でしたが最後まで読んでいただいてありがとうございます^^
🔽ニレーシュと出会ってからのお話
🔽ヒンディーの勉強始めました。日英ヒンディーで自己紹介
🔽インド旅行で使える!ヒンディー語でのカンタンな挨拶と日常会話